店頭でわかる、自分が作った本 中綴じラインオペレーター 早坂拓也

中綴じラインを1人で見る

5年前に入社しました。『週刊少年ジャンプ』は毎週読んでいたので、入社前に『ジャンプ』をつくっていると聞いて「おっ、すごいな」と思いました。
入社して、三方断裁からスタート。3年目に、中綴じ機※1のオペレーターに選ばれました。中綴じラインを全部1人で見ないといけない。無線綴じラインは丁合※2、無線綴じ※3、三方断裁※4と分かれるのですが、中綴じは丁合から三方断裁まで、いわば3人分の仕事を1人でやります。最初はもうドタバタで、失敗することもあり、そのたびに先輩方に助けてもらいました。工場長が、若手の底上げとスキルアップをということで選んでくれたのは、自分にとっても大きかったです。
今は『週刊ヤングジャンプ』で、毎週3日間が埋まります。機械が回っているときは、1人で見るので、ちょっと気が抜けていると、回転も速いため悪いものが出ても気づかぬまま10分放っておくと1,000部不良本になってしまう。なので、基本的なことですが気を抜かない、手を抜かないということを大切にしています。
無線綴じだとあまりわかりませんが、中綴じはつくる人によって、本の形などが微妙に違ってくるんです。だから、コンビニで『ヤングジャンプ』を見た瞬間に「あ!俺がつくったやつだ」とわかります。
もう職業病みたいですよね。これも自分がやったものが世の中に出回っているから。製本会社ならではというか、この仕事の醍醐味であり、モチベーションが上がるひとつの要素だと思います。
機械の操作は、現場で教えてもらいながら覚えます。入社すると最初に三方断裁に配属されるので、みんな三方のことは知っていて、いろいろ聞いたりできるのですが、中綴じは、2人の先輩オペレーターにやりながら教えてもらいました。少しずつできるようになってくると、達成感があって結構うれしいですね。悪いものを出さず、回転数をどんどん上げて、早く終わらせることができたりすると、よし!という感じです。 他にできる人が少ないということも、自分の自信になります。中綴じを始めていろいろ視野も広がりました。三方では言われたことをやる側だったのが、中綴じのオペレーターになり自分が指示する側になったことで、当初は悩んだりもしました。
機械を見ていると、ここは何かありそうというところがだんだんわかってくる。ここは怪しい、ここはこうなりやすいからこうしよう等々…。次の手として何が打てるかが一番大事だと言われてきました。何かあったときのために、いろんな手を持っていなければなりません。

中綴じラインオペレーター 早坂拓也

人に恵まれている!大事なのは人

中島製本はミスを決して外に出さない会社です。今の中綴じ機は乱丁防止カメラなどの検査機器が付いていて、悪いものは自動的に排除してくれる仕組みになっていますが、それを設定するのも扱うのも人です。なので最終的には人間がシビアに管理しないと駄目なんです。

※1 中綴じ機:折丁を丁合し、本の背中に針金を打ち込んで綴じ、三方を化粧断ちする機械
※2 丁合:折丁をページ順に揃え、1冊の本にまとめる作業
※3 無線綴じ:1冊ごとに丁合された本の背に糊を塗布し、表紙をくるんでつける作業
※4 三方断裁:本の天、地、小口側の三方を包丁で化粧断ちする作業